■令和5年度防衛関係予算の政府案が閣議決定
12月23日,政府は令和5年度(2023年度)防衛関係費の予算案を閣議決定した。
新たな防衛力整備計画の1年目となる予算は6兆6,001億円で,「防衛力抜本的強化『元年』予算」とうたわれ,対前年度伸び率は27.4パーセント増と過去最大の増加であった。また,これとは別枠でSACO(沖縄に関する特別行動委員会)関係経費および米軍再編関係経費の負担軽減分として2,218億円が計上されており,これらを合わせた総額は6兆8,219億円で,過去最高額である。
5年度予算案で新たに整備される海上自衛隊の艦艇は,7隻(18,400トン)で,その内訳は以下のとおり。
▷3,900トン型護衛艦(FFM) 2隻(1,167億円)
▷3,000トン型潜水艦(SS) 1隻(808億円)
▷1,900トン型哨戒艦 4隻(357億円)
3,900トン型護衛艦は“もがみ”型の11,12番艦で,3,000トン型潜水艦は“たいげい”型の7番艦である。
ほかにイージス・システム搭載艦2隻の整備に向けた構成品などの取得に2,208億円(エンジンやVLSなど),支援船6隻(曳船2隻,油船2隻,交通船1隻,特別機動船1隻)の取得に22億円,“いずも”型護衛艦の「空母化」改修に52億円(着艦誘導装置の取得など),垂直発射装置Mk41 VLSの整備に787億円(“もがみ”型用10隻分,“むらさめ”型/“たかなみ”型計14隻分の近代化改修用機材の取得),可変深度ソナー・システムの整備に185億円(“もがみ”型用VDS3式/TASS4式)などが計上されている。
5年度予算で新たに要求された海自の航空機は,P-1哨戒機の取得3機に914億円,SH-60L哨戒ヘリコプター6機の取得に603億円である。
さらに,スタンド・オフ・ミサイルの整備として,12式地対艦誘導弾能力向上型の開発・量産,島嶼防衛用高速滑空弾の研究・量産,島嶼防衛用高速滑空弾(能力向上型)の開発,極超音速誘導弾の研究,島嶼防衛用新対艦誘導弾の研究,JSM,JASSM,トマホークの取得が挙げられている。弾道ミサイル,巡航ミサイル,極超音速兵器などへの対応能力強化のため,スタンダードSM-3ブロックIIA,同SM-6などを取得する。その他,航空,水上,水中無人機整備,砲弾やミサイル,魚雷(新型の静粛型動力装置搭載魚雷を含む)などの各種弾薬の確保にも予算が割り振られている。