■令和6年度防衛関係予算の政府案が閣議決定
12月22日,政府は令和6年度(2024年度)防衛関係費の予算案を閣議決定した。
防衛力整備計画の2年目となる予算は7兆7,249億円で,対前年度伸び率は17.0パーセントであった。また,これとは別枠にSACO(沖縄に関する特別行動委員会),米軍再編関係経費として2,247 億円が計上されており,これらを合わせた総額では7兆 9,496 億円で,過去最高額である。
6年度予算で新たに整備される海上自衛隊の艦艇の内訳は以下のとおり。
▷イージス・システム搭載艦 2隻(3,731億円)
▷4,800トン型護衛艦(FFM) 2隻(1,740億円)
▷3,000トン型潜水艦(SS) 1隻(950億円)
▷14,500トン型補給艦(AOE) 1隻(830億円)
▷690トン型掃海艦(MSO) 1隻(263億円)
このうち4,800トン型護衛艦は“もがみ”型FFMの後継,14,500トン型補給艦は“とわだ”型の代替となる新型である。これらの詳細については,2024年3月号の特集記事を参照されたい。
3,000トン型潜水艦は“たいげい”型の8番艦,690トン型掃海艦は“あわじ”型掃海艦の6番艦である。
このほか,イージス・システム搭載艦2隻の建造等に3,731億円,戦闘支援型多目的USVの研究に248億円,USV(供試器材)の試験的運用に162億円,12式地対艦誘導弾能力向上型(地発型・艦発型・空発型)の開発と製造態勢の拡充にそれぞれ176億円と480億円が,同誘導弾艦発型搭載のための器材調達に6億円,さらに極超音速誘導弾の開発と製造態勢の拡充に,それぞれ725億円と86億円が計上された。またトマホークSLCM発射機能の艦艇への付加に2億円,新艦対空誘導弾に223億円,17式艦対艦誘導弾の確保に44億円が計上されている。
6年度予算で新たに要求された海上自衛隊の航空機は,能力向上型P-1哨戒機の3機取得に1,036億円,新型のSH-60L哨戒ヘリコプターの6機取得に665億円である。加えて,P-1をベースとした電子作戦機の開発に141億円が計上されている。
さらに,陸海空幕僚長と同格の将を司令官とする「統合作戦司令部(仮称)」の創設や南西島嶼部などへ部隊や物資を迅速に輸送するための共同の部隊である「自衛隊海上輸送群(仮称)」の新設,大湊地方隊を改編し,大湊地区の定員規模を維持しつつ後方支援や地元自治体との連絡調整,災害派遣等を担う「大湊地区隊」を新編し,北方から太平洋にかけての警戒監視任務を横須賀地方隊に一元化するなどの大規模な組織改編も行なわれる予定だ。なお,「大湊地区隊」のトップは「地区総監(仮称)」で,海将が充てられる予定。
人的基盤の強化に関する施策として,艦艇乗組員に支給する手当の引上げ(支給割合を約10パーセント引上げ)や海自艦艇通信環境の改善(2億円)などにも予算が振り分けられている。