●アメリカのフラッグシップ「ユナイテッド・ステーツ」最後の航海

 フィラデルフィアの係留埠頭から立退きを命じられ,保存の継続が困難になったユナイテッド・ステーツUnited States(53,330総トン,1952年竣工)は,保存団体が寄付や保存場所を呼びかけ,再生プランの具体化などを模索したものの,保存に向けた有力な手立ては見つからず,結局昨年8月に本船の人工リーフ化と陸上の記念博物館建設を提案したフロリダ州西部オカルーサ郡との話が10月にまとまった。同船は売船され,曳航準備ののち2月19日同地を離れ,3月3日所要の改造を行なうアラバマ州モービルに到着した。同地で環境対策,ファンネルの撤去などリーフにするために必要な改造を約6~12カ月かけて施され,早ければ今年9月以降,メキシコ湾岸のデスティン・フォート・ウォルトン海岸の南方沖約30キロに設置される見込み。陸上には博物館とビジターセンターが建設され,ファンネルやレーダー・マスト,プロペラなど取り外した備品などが保存団体の協力を得て展示される。本船の買収を含め,移動や準備,博物館建設費の総額は約1,010万ドルといわれる。

                       (OKALOOSA COUNTY)