●ワレニウス・ウィルヘルムセンが全帆走PCTC「オルセル・ウインド」建造へ

 スウェーデン&ノルウェーの自動車/RORO船大手ワレニウス・ウィルヘルムセン(WW)は,去る2月17日,風力推進の自動車運搬船オルセル・ウインドOrcelle Windを建造し,2025年に就航させると発表した。船上に伸縮式の可動式硬翼縦帆5基を装備し,これにより従来のディーゼル船に比して,CO2排出量を90パーセント削減できるという。主要目は全長220メートル,幅40メートルで,車両積載数は7,000台(基準車換算)。帆の高さは最高80メートル,素材は鋼と複合材。360度回転し,3段の引込み方式で最小高さ20メートルという。橋梁通過時や強風時のコントロールなどのため,海面から105~45メートルの範囲で高さを調節できる。帆走のみでの速力は10~12ノットとされ,補助電源システムを搭載し,増速を可能とする設定である。このプランは,昨年9月に同社系列のワレニウス・マリンが発表した「オーシャンバード」のコンセプト・デザインを具現化したもので,その開発にはスウェーデン工科大学や海事コンサルタント会社SSPA(Statens Skeppsprovnings Anstalt)も参加した。今後は安全性と技術性能に関する評価を経て,就航ルートへの適合性,悪天候時の港内操船能力など,各種ハードルをクリアする必要があり,実用性を確認したうえで2022年半ばまでに造船所と契約する計画。WW社は将来のゼロ・エミッションに向け,積極的な役割を果たしていくとしている。

                      (WALLENIUS WILHELMSEN)