●三菱重工が長崎造船所香焼工場を売却へ
三菱重工は12月18日,「当社長崎造船所香焼工場の活用策について」とする発表を行ない,香焼工場の大島造船所への売却を含む活用策の検討を開始した。香焼工場は1972年(昭和47年)にVLCCの専用建造工場として建設。その後の造船不況と船舶需要の大きな山谷,前世期末から台頭してきた韓国や中国造船などとの競争下で,建造船種はタンカーから撒積船,コンテナ船などにシフトし,近年はLPG船やLNG船などのガス運搬船を連続建造してきた。他方,設備投資や組織のスリム化,構造改革なども講じつつ40年余継続してきたが,昨今の情勢から抜本的対策を余儀なくされたという。関係企業数の多い造船事業は,工場の閉鎖による地元への影響が大きいことから,同じ長崎県内に本社があり,長年にわたって協力関係にある大島造船所と協議し,今回の合意を得た。香焼工場の新造船は,LPG船3隻と今治造船から委託されたVLCC1隻の4隻を残すのみとなっており,最後のVLCCは2021年度第2四半期に引渡し予定である。三菱重工グループでは,立神工場および下関造船所の工場設備の新鋭化などを進め,優位性を維持しつつ付加価値を高められる船舶に経営資源を集中し,造船事業の持続的発展を図る方針。