●商船三井・日本郵船など相次いでLCO2船のAiP取得

 カーボンニュートラル社会の実現に向け,CCUSバリューチェーン構築に欠かせないLCO2船などの開発が加速している。商船三井は6月28日,マレーシア国営エネルギー会社PETRONAS(Petroliam Nasional Berhad)および中国の船舶設計機関SDARI(Shanghai Merchant Ship Design & Research Institute)と共同開発したLCO2船3種(87,000㎥型,14,000㎥型,87,000㎥DPS搭載型)と96,000㎥型FSO(Floating Storage and Offloading:洋上浮体式設備)について,前者はノルウェー船級協会(DNV)およびアメリカ船級協会(ABS)から,後者はABSからAiPを取得したと発表した。これにより輸送貨物量や距離,洋上貯留地付近までの直接輸送など,多様な輸送ニーズへの柔軟な対応が可能となる。PETRONASとのさらなる協業を図り,LCO2輸送の取組みを加速させる意向。

 一方,日本郵船と三菱造船は6月29日,アンモニアとLCO2兼用輸送船のAiPを,日本海事協会(NK)から取得したと発表した。両社はそれぞれアンモニアとL CO2専用船の開発に取り組み,大型LCO2輸送船開発で協力しているが,同一船舶で両方を輸送できれば,往路で火力発電所へアンモニアを輸送,復路は発電所の排出CO2を貯留地へ輸送するオペレーションが可能となる。今回のAiP取得により,両社は同一船舶によるアンモニアとLCO2の安全かつ経済的な輸送を目指す。

 商船三井と日本郵船は今後さらなる技術開発に尽力し,CCUSバリューチェーン構築に貢献するとしている。

                          (商船三井)

                          (日本郵船)