●知床遊覧船事故 最終報告書

 運輸安全委員会は9月7日,旅客船“KAZUⅠ”(19総トン,船客定員65人,1985年進水)沈没事故の最終報告書を公表した。事故は2022年4月23日に乗員乗客26人を乗せて知床半島西岸を航行中に発生し,18人が死亡,現在も6人が行方不明である。報告書では,沈没は海象悪化が予想される中を出港し,船首甲板ハッチ蓋が開いて浸水が広がり,浮力を失ったためとした。直接的な原因として船首ハッチの部品劣化,点検・整備が不十分だったと結論付けたうえで,会社の安全管理体制の不備や,日本小型船舶検査機構(JCI)の事故直前検査でハッチ蓋を目視のみで良好と判断した検査体制,北海道運輸局が審査や監査で安全管理体制不備の改善を図れないまま運航が継続されたことも要因として明記した。