令和2年度防衛予算の概算要求決定

 8月30日,防衛省は令和2年度(2020年度)の業務計画案と概算要求を決定し,財務省に提出した。防衛関係費の総額は5兆3,223億円(政府専用機導入に伴う経費を除いた額は5兆3,222億円)で,対前年度比伸び率は1.2パーセント(同6.3パーセント)。
 なお今年度概算要求額では,SACO関係費等を事項要求としており,前述の金額に含まれていない。海上自衛隊関係の総額は1兆2,987億円で,対前年度伸び率は6.0パーセント。

 新たに要求された自衛艦は以下の4隻(11,490トン)で,総額1,764億円。
  3,900トン型護衛艦(FFM)2隻
  3,000トン型潜水艦(SS)1隻
  690トン型掃海艦(MSO)1隻

 3,900トン型護衛艦は,30FFMの5,6番艦である。潜水艦はリチウム・イオン電池を搭載する29SSの4番艦で,690トン型掃海艦は“あわじ”型の4番艦。

 就役中の自衛艦の艦齢延伸化策としては,“あさぎり”型3隻の工事と1隻の部品取得に1億円,“あぶくま”型3隻の工事に1億円,“こんごう”型1隻の工事と2隻の部品取得に42億円,“むらさめ”型2隻の部品取得に39億円,“おやしお”型3隻の工事と5隻の部品取得に24億円,“そうりゅう”型2隻の部品取得に1億円,“ひびき”型音響測定艦1隻の工事と1隻の部品取得に7億円,“とわだ”型補給艦1隻の工事に2億円が要求された。

 このほか,護衛艦CIWS(高性能20ミリ機関砲)の近代化改修工事1隻に0.6億円,“あさぎり”型護衛艦戦闘指揮システムの近代化改修工事3隻に13億円,“たかなみ”型の同部品取得2隻に7億円,“むらさめ”型の戦闘指揮システムの電子計算機等更新の部品取得4隻に38億円,“あきづき”型の同部品取得2隻に37億円,“ひゅうが”型の同部品取得1隻に20億円,“いずも”型の同部品取得1隻に9億円,“おおすみ”型輸送艦の能力向上の部品取得1隻に3億円,潜水艦救難艦“ちはや”の改修の工事に7億円を要求している。

 さらに,イージス・システム搭載護衛艦の能力向上(“あたご”型にSM-3ブロックIIAを発射できるようにするための改修)2隻に17億円,“いずも”型護衛艦の改修(F-35B STOVL機の発着艦を可能とするための部分的な改修で,耐熱塗装の実施や誘導灯の設置など)1隻に31億円,水中防衛用小型UUVの導入に76億円,機雷捜索用水中無人機OZZ-5(FFM搭載用)の整備に15億円,護衛艦の電子戦能力向上に関する調査研究に0.4億円,垂直発射装置の一括共同調達30基等(イージス・アショア2基用にVLS6基〈アショア1基あてVLS3基〉および30FFM 12隻用にVLS24基〈FFM1隻あてVLS2基,搭載対象艦は26中期防分2隻および31中期防分10隻〉)に422億円が要求されている。

 支援船は,270トン型油船(YG)2隻,490トン型油船(YO)2隻,200トン型運貨船(YL)1隻,260トン型曳船(YT)1隻,310トン型水船(YW)2隻が要求された。

 航空機の新規要求は以下のとおりで,総額1,143億円。
  P-1哨戒機3機
  SH-60K哨戒ヘリコプター7機

 ほかに機齢延伸として,P-3C哨戒機7機に35億円,OP-3C多用機1機に4億円,EP-3C多用機の機体疲労評価に2億円,SH-60K哨戒ヘリコプター3機に72億円,SH-60J哨戒ヘリコプター2機に19億円。またSH-60Kの救難仕様改修3機に29億円。

 なお航空自衛隊は, F-35B6機の取得費に846億円を計上している。