英海軍の将来方針に関する動向

 グラント・シャップス英国防相が,5月14,15日に開催された海洋戦力に関
するカンファレンスの席で,英海軍の26型フリゲイトと31型フリゲイトに対地
攻撃能力を付与する構想を明らかにした。
 このうち26型は,当初からMk41垂直発射システム(VLS)を搭載する設計だ
が,すでに建造が進んでいる31型はVLSを持たないため,バックフィットを実
施する。ただし,そこに搭載するミサイルの機種は未確定。RGM-109トマホー
クに加えて,欧州製のNSM(Naval Strike Missile)やFC/ASW(FCASWとも。
Future Cruise/Anti-Ship Weapon)を搭載する可能性もある。
 また,イギリスでは国防費の対GDP比を2.5パーセントまで引き上げることで
財政的な裏付けが実現したのを受けて,潜水艦を含む艦艇28隻を建造する“
Golden Age shipbuilding”の推進を発表した。すでに計画が進行している,
26型や31型,アスチュートAstute級攻撃原潜,ドレッドノートDreadnought級
戦略原潜,新型補給艦FSS(Fleet Solid Support)は,当然ながら含まれる。
 さらに新規案件として,海兵隊コマンドー部隊輸送用のMRSS(Multi Role
Support Ship)を6隻建造する構想が明らかにされた。まず概念策定フェーズ
の作業を進めるとしている。このMRSSは,王立艦隊補助部隊(RFA)のドック
型揚陸艦ベイBay級3隻(ライム・ベイLyme Bay,マウンツ・ベイMounts
Bay,カーディガン・ベイCardigan Bay)や,航空支援艦アーガスArgusの代艦
となる。
 ドック型輸送揚陸艦アルビオンAlbionとブルワークBulwarkの退役あるいは
モスボールは実施せず,予定どおりに2033~34年まで運用を継続する。これら
も,退役後はMRSSが後任となる。