■イージス・システム搭載艦の新イメージ図を公表
7月28日,防衛省は令和5年(2023年)版防衛白書(下掲記事参照)で,イージス・システム搭載艦の新しいイメージ図を公表した。
イメージでは“まや”型とよく似た護衛艦型の艦が,白波の立つ荒れた海面を高速で航行しつつ,巡航ミサイル,弾道ミサイル,ドローンへの攻撃を行なっており,冬季の日本海の荒れた海象状況の下でも,作戦行動を行なえる耐航性を持つことがうかがえる。
艦全体の印象は,昨年12月の令和5年度政府予算案で示されたイメージを,より現実に即して描きなおしたものと思われ,前甲板に127ミリ単装砲,その後方に前部VLSを装備している。さらに艦橋構造物の上部にはSPY-7多機能レーダーを装着した構造物,さらにその上方にはSPQ-9B対水上(多機能)レーダー,ESM,タカンなどを装備したマストが描かれている。
上部構造物と一体化した2本の煙突はいずれも細身で,“まや”型のようにCOGLAG推進の採用が考えられるが,これについての言及はない。
1,2番煙突間にはSSMの発射筒らしきものが見え,後部構造物上には遠隔操作式の12.7ミリ単装機銃,SPG-62イルミネーターらしきものも描かれているが,細部は判然としない。
前後のVLSはほかの装備品と比較すると64セル程度,合計128セル程度のように見えるが,これについても正式な発表はなく,前部VLSからは巡航ミサイルに対しSM-6を,後部VLSからはSM-3を弾道ミサイルに対し,それぞれ発射している。ドローンに対し,攻撃を加えている武器が20ミリCIWSなのか,今後,開発を進めるとされる指向性エネルギー(レーザー)兵器なのかは不明だ。
基準排水量は1万トン台前半,速力は約30ノットで,乗員200人台を目指すといわれるが,イージス護衛艦とほぼ同等の兵装を備えているので,どこまで自動化と省人化が進むかがその鍵となるだろう。
なお,イメージでは,上部構造物の前部や中央部付近に装着されるはずのRCSスクリーンが省略されているため,ステルス的にはもっと進んだ外観になると思われる。
いずれにせよ,今後も検討が進むにつれ,外観を含むかなりの変化があるかもしれない。