■自衛隊新型輸送艦「にほんばれ」が進水
10月29日,令和4年度(2022年度)計画による新型輸送艦“にほんばれ”(艦番号LCU-4151)が,内海造船瀬戸田工場で進水した。本艦は令和6年度末,陸海空三自衛隊の共同部隊として呉地区に新編を予定している自衛隊海上輸送群(仮称)向けに,陸上自衛隊予算で整備を進めている「小型級船舶(LCU)」の1番艦である。建造費は41億2,500万円で,就役は令和6年度末を予定している。
基準排水量2,400トン,載貨重量350トン,全長80メートル,吃水3メートル,速力15ノット,乗員約30名。艦首に観音開き式のバウ・ドア,その内側にバウ・ランプを備え,さらにその後方の船体内に車両甲板(貨物倉)を配置している。船体後部には煙突と一体化した艦橋構造物を持つ。島嶼部の水深の浅い港湾にも車両や物資の輸送が可能で,建造所の内海造船によると,砂浜へのビーチング能力を持ち,それに則した構造と艤装を備える。なお,同社では,同じく4年度計画で「中型級船舶(LSV)」1隻(建造費は53億7,900万円)の建造を進めており,就役はこちらも6年度末の予定である。
自衛隊海上輸送群(仮称)は,平時は離島などへの業務輸送に従事し,有事には南西諸島方面等への陸上自衛隊兵力の機動展開や国民保護のための輸送任務等を行なう。その当面の戦力として,令和6年度末までにLSVとLCUを各1隻就役させ,7年度末にはこれにLCU2隻が加わる。これらを含め,令和9年度末までにLSV2隻,LCU4隻,機動舟艇4隻の合計10隻の整備を計画している。