●帆装商船復活! 商船三井が省エネ帆装石炭運搬船を建造へ
わが国海運大手の商船三井は去る10月,同社と大島造船所などで進める「ウインドチャレンジャー(硬翼帆式風力推進装置)プロジェクト」の設計基本承認を日本海事協会から取得,次いで東北電力と本装置を搭載した石炭運搬船建造の検討開始を発表した。この装置は,伸縮可能な硬翼帆によって風力エネルギーを推進力に変換し,航行時の燃料消費を削減,環境負荷低減と経済性向上を図るもの。このほど東北電力の石炭火力発電所港湾で,同装置搭載船が入港可能と確認され,2022年度の就航に向け両社で本格検討が開始された。かつて80年代に建造された省エネ帆装商船が,約40年振りに復活する気配が濃厚である。暫定要目は98,900重量トン,全長235メートル,幅43メートルで,船首部に硬翼帆を1基装備する。着岸時,硬翼帆は畳まれる。これにより日本~豪州航路で従来型同型船比約5パーセント,日本~北米西岸航路では約8パーセントのGHG排出削減効果を見込む。このプロジェクトは,東京大学主宰の産学共同研究「ウィンドチャレンジャー計画」として2009年にスタート。13年から国交省の次世代海洋関連技術の補助金対象となり,18年からは商船三井と大島造船所が中心になって研究を継続していた。
(商船三井)