●シップ・オブ・ザ・イヤー2019は大島造船所の全バッテリー駆動フェリー「e-Oshima」が受賞!
日本船舶海洋工学会が1990年から毎年実施している「シップ・オブ・ザ・イヤー(SOY)」は,日本で建造された船舶のうち,技術的・芸術的に優れた船に与えられる。30回目となった「SOY 2019」選考委員会は,新型コロナ禍により例年より開催時期を遅らせて,7月27日にWEB会議を併用しつつ実施し,予備審査を通過した10隻による本選考を経て,大賞(シップ・オブ・ザ・イヤー2019=全バッテリー駆動フェリー「e-Oshima」)のほか部門賞各1隻(大型客船=きたかみ,小型客船=SEA PASEO,小型貨物線=うたしま,漁船・調査船=やしお,作業船・特殊船=いしん)を選定した。
◇シップ・オブ・ザ・イヤー2019=全バッテリー駆動フェリー「e-Oshima」(イー・オーシマ) 大島造船所で6月7日竣工。同所が自社訪問者送迎用として建造したフェリーで,所有運航は大島総合サービスが担当している。日本で初めて完全バッテリー駆動方式を採用してゼロエミッションを実現したほか,自動操船システム,自動着桟システムなど先進技術も装備した点が評価された。340総トン,垂線間長29.9メートル,幅9.6メートル,深さ3.8メートル、主機リチウム(Li)イオンバッテリー駆動電動機2基、出力440キロワット,速力10ノット,船客50人、乗用車8台積載。
◇大型客船部門賞=カーフェリー「きたかみ」 三菱造船が受注し,三菱重工下関造船所で建造され,1月20日に竣工した。太平洋フェリーが仙台~苫小牧航路用に特化して建造したもの。13,649総トン,垂線間長180.0メートル,主機JFE 12PC2.6B型ディーゼル2基(8,000kW×2),速力21.5ノット,船客535名,12メートル・トラック164台,乗用車146台積載。
◇小型客船部門賞=カーフェリー「SEA PASEO」(シーパセオ) 神田造船所川尻工場で7月25日に竣工。瀬戸内海汽船が「海上を移動する心地よい公園」のコンセプトで建造したフェリー。902総トン,垂線間長55.0メートル,主機新潟6MG26HLX型ディーゼル2基(1,250kW×2),速力15.0ノット,船客300名,乗用車換算35台積載。
◇小型貨物船部門賞=Liイオン電池搭載ハイブリッド貨物船「うたしま」 広島(大崎上島)の小池造船海運で2月27日に竣工。世界最大級の大容量Liイオン電池(3,500kWh)を搭載した内航貨物船初のハイブリッド貨物船。船主は向島ドック。499総トン,垂線間長69.6メートル,主機阪神LA30型ディーゼル1基(1,323kW),速力11ノット,鋼材約1,500トン積載。
◇漁船・調査船部門賞=漁業調査指導船「やしお」 長崎の井筒造船所で2月18日に竣工した東京都の漁業調査指導船。省エネや荒天時海洋調査も可能とし,機関などの異常監視,船内システムの遠隔更新なども行える「スマート船」である。117総トン,垂線間長37.0メートル,主機ダイハツ6DEM-23型ディーゼル1基(1,471kW),速力15ノット,乗員12名。
◇作業船・特殊船部門賞=LNG燃料タグボート「いしん」 神戸の金川造船で2月27日に竣工した。商船三井が所有し,グループの日本栄船が運航。国内で初めてIGFコード(国際ガス燃料船安全コード)に準拠し,環境負荷を低減したLNG燃料タグボートである。247総トン,垂線間長38.75メートル,主機ヤンマー6EY26DF型ディーゼル2基(1,618kW×2),速力16ノット。
(写真提供:日本船舶海洋工学会)