■令和4年度防衛予算の概算要求決定
8月31日,防衛省は令和4年度(2022年度)の業務計画案と概算要求を決定し,財務省に提出した。
防衛関係費の総額は5兆4,797億円(SACO関係経費等は事項要求のため金額に含まれない)で,対前年度伸び率は7.0パーセント(SACO関係経費等を含むと2.6パーセント)。なお,令和4年度概算要求では,SACO関係経費,米軍再編関係経費のうち地元負担軽減分,F-15能力向上関係経費等について事項要求としている。
海上自衛隊の要求総額は1兆4,092億円で,対前年度伸び率は8.0パーセント。
新たに要求された海上自衛隊の艦艇は以下の6隻(17,290トン)で,総額2,486億円(初度費含む)。
3,900トン型護衛艦(FFM) 2隻(1,140億円)
3,000トン型潜水艦(SS) 1隻(727億円)
2,900トン型海洋観測艦(AGS) 1隻(283億円)
2,900トン型音響測定艦(AOS) 1隻(199億円)
690トン型掃海艦(MSO) 1隻(137億円)
3,900トン型護衛艦は“もがみ”型FFMの9,10番艦で,要求金額にはMk41 VLSのFMS取得費用が含まれており,認められれば新造時から初めてVLSを搭載する。3,000トン型潜水艦は“たいげい”型6番艦,2,900トン型海洋観測艦は海洋観測艦“わかさ”の代艦,2,900トン型音響測定艦は“ひびき”型4番艦,690トン型掃海艦は“あわじ”型5番艦となる。
就役中の自衛艦の艦齢延伸化対策としては,“むらさめ”型,“こんごう”型護衛艦,“おやしお”型,“そうりゅう”型潜水艦,“おおすみ”型輸送艦,試験艦“あすか”,練習艦“かしま”の工事および部品取得に約205億円が要求されている。
このほか,“いずも”型護衛艦“いずも”の改修に67億円が要求されている。これはF-35B STOVL戦闘機発着艦対応の第2次改装(令和6年度末着手予定)の先行予算などで,着艦誘導装置(JPALS:Joint Precision Approach and Landing System)の取得等である。また,計画中のイージス・システム搭載艦に搭載するレーダー(SPY-7)の洋上仕様変更に58億円,哨戒艦の基本設計費として4億円が要求されている。
さらに陸上自衛隊の予算で,中型級船舶(LSV,載貨重量1,700トン)1隻58億円,小型級船舶(LCU,載貨重量350トン)1隻44億円が要求されている。これは南西地域等への隊員,装備品および補給品の輸送のため,共同の部隊である海上輸送部隊に配備するものである。なお令和4年度では支援船の要求はない。
航空機の新規要求は以下のとおりで,総額893億円が計上されている。
P-1哨戒機 3機(806億円)
MCH-101掃海・輸送ヘリコプター 1機(87億円)
ほかにUS-2救難飛行艇の外翼等の調達費(1機:55億円,令和3年度予算で本体調達費71億円取得済み)を計上。機齢延伸はP-3C哨戒機,OP-3C画像データ収集機,SH-60K哨戒ヘリコプターに約135億円が,UP-3D電子戦訓練支援機の能力向上とSH-60K哨戒ヘリコプターの救難仕様改修に77億円が要求されている。
航空自衛隊の予算では,F-35A戦闘機8機の取得に779億円,F-35B4機の取得に521億円が要求された。